受容できるその日まで
母親やめてもいいですか 娘が発達障害と診断されて… (文春文庫)
おそらく高機能自閉症であろう、アスペルガー系の女の子たからちゃん。
癇癪やこだわりが強く、話すのは上手だけれど友達とのコミュニケーションは難しい。
母子家庭とか不妊症とか障害とか、いつもなんで私ばっかり貧乏くじ引かなきゃだめなの
この気持ちを抱いたことのない自閉症児のお母さんはいないはず。
それでもお母さんのかこさん、娘たからの将来のために…!と良い病院を求めて転院したり、早くから療育に通ったり熱意がある。
しかし途中で燃え尽きます。
療育をしても子供の障害がなくなって、普通の子になるわけじゃない
一生普通の家庭にはなれない
と気づいた時点で疲れきった心がポキポキと…
療育を始めた当初、ABAをやれば息子は治るんだ、普通の子になれる!と信じていました。
それは無理でちょっと違うんじゃないか、と今では分かりました。
特性を見えなくなるまで薄めて、社会に出た時に問題なく過ごせるようスキルを教えることはできる。
社会になじませることはできる。
なおかつ得意なところを伸ばして、楽しく過ごせたらもうそれで十分成功でしょ。
そして療育に励みながら子供と過ごす日々を愛おしく思えたら、人生勝ったも同然です。
一年前は息子と手をつないで歩くことができませんでした。
自分の興味がある看板やマンホールを触ろうと走って逃げて行ってしまったから。
手を繋いでニコって微笑みかけてほしいな、ママ大好きだよって言ってほしいな…と夢みてました。
そんな日は来るのかな…と。
現在その夢は叶っています。
この一年で課題として手を繋いで歩くことを教えました。
10分は手を繋いで散歩もできるし、「ママおててつないで〜」と言ってくれる。
歩きながら私を見つめてニコニコしてくれる。
満足できるまでやり切ったら、子供の姿を間違いなく受容できる。
心から可愛いと思える日がきっとくる。
そう信じて毎日療育に励んでます。
…でも母親は大変。時々やめたいです。
やめても大丈夫。
かこさんは十二分にやったし、娘のたからさんも幸せだと思います。