子供への具体的な言葉かけ、ABA の具体的な方法を知りたい方は前作の方がお勧めです。
発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ (健康ライブラリー)
この本で主に描かれているのは、親御さんの自分自身への言葉かけです。
子供の発達障害を受容するために。
子供のありのままの姿を認めて、他の子と比べないようになるために。
自閉症特有の問題行動にイライラしないために。
親御さんが自己嫌悪に陥らないようにするために。
「ハッピー」になるために。
もちろん子供を受け入れることは親としてとても大事だと思います。
子供のマイナス面ばかり見ないことも、言わずもがなです。
…。
ここから辛口です。
最近毒吐いてばっかりだな(;・∀・)
苦手な方は回れ右してくださいね。
こういった親御さんの心がけが大事、とありのままを認めてあげましょうって言われると反発の気持ちがムクムク湧いてきます。
子供さんに問題行動がなかったり、少なかったら良いですよ。
ありのままの子供を愛せると思います。
多少できないことがあっても「この子はこの子だから」と割りきれるでしょう。
でも子供が、
癇癪が激しい、奇声を出す、友達や家族をたたく、気に入らないことがあると唾を吐きまくる、壁紙をビリビリに破る
こういった子供の問題行動に悩んでる人に「子供のありのままの姿を認めて」「この子はこの子だから」ってアドバイスするのは酷じゃないですか。
つば吐きはうちの息子です。
他の例は全て、ABAの先生から他の親御さんが悩んでいる問題行動として具体的に聞いたものです。
その問題行動は減らせますよ、ちゃんと自分の気持ちを伝えられる方法を教えてあげられますよ、
というアドバイスの方がよっぽど親御さんのためです。
この本にはそのやり方は書いていないので、前作の方がお勧めです。
この本の題名は「親の心を軽くするための、親御さんへの言葉かけ」の方が適切ですよね。
正直なところ、今作は論理性と科学的根拠には欠けると思いました。
主観でごめんなさい。
前作は平岩先生が監修されたので、そのあたりを補強されていたのかもしれません。
親御さんの心のケアは勿論重要です。
自分が発達障害児の親だからこそ、これは十分に身に染みて分かっています。
母親である私達が倒れたら、駄目になったら、子供をサポートすることはできません。
でもね、「ありのままを認める」で問題は解決するのでしょうか。
聞き心地の良い言葉を聞かされても、その場限りで根本的な問題は放置されたまま。
子供の問題行動を減らして、スキルをつけてあげる以外に解決法はありません。
辛口ですみません。
親御さん自身が「私は子供のありのままを認めている、そのままでよい」と思われている分には、何のマイナスの感情はありません。
私はできていないので、尊い気持ちしかありません。
その境地に至るまで、数々の苦難を乗り越えられたと思います。
でも専門家は別です。
専門家だと思っていた方に、「ありのままを認めて!ハッピーでいて!」と言われたようでとてもがっくりきました。
前作がとても好きだった分勝手に期待してただけなのですが、残念です。
辛口・毒吐き終わり、ここまで。
ASD の特性をもつ子供さんが大きくなった時に幸せになった姿や、親御さんが障害を受け入れて幸せになったエピソードが後半には沢山載っています。
吃音や場面緘黙症の例も。
読めば明るい未来を描ける助けになると思います。
最後に自閉症スペクトラムとその療育方法についての本で、私が一番おすすめのものを置いておきます。
一番中立的で客観的な本です。
聞き心地の良い言葉で現実から目を背けさせたりはしません。
発達障害のお子さんをもつ全ての親御さんが、本当に幸せな気持ちで毎日を過ごせるよう願ってやみません。